弁護士コラム

第124回

『懲戒対応と退職代行【普通解雇や懲戒解雇されるか?】』について

公開日:2025年6月2日

退職

弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。

退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。

その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。

コラム第124回は『懲戒対応と退職代行【普通解雇や懲戒解雇されるか?】』についてコラムにします。

懲戒対応と退職代行の依頼を検討している場合には、弁護士の退職代行からお申し込みください。

目次

1.懲戒対応と退職代行について

例えば、勤務中に就業規則違反をしてしまった場合や、就業規則に反する疑いをかけられて自宅待機を会社から命じられている場合があるとします。自宅待機中に退職代行を依頼しようと思ったことはありませんか?

自宅待機中に、懲戒原因事実について、会社からヒアリングの機会があるため、出勤をするように言われたり、懲戒委員会への出席をするように通知を受け取る場合など、依頼者自身としては、会社と一切、電話や面談をしたくないと思う場合もあります。

そのような時に、弁護士に代理人になってもらい、退職の手続きをしてもらいと思ったことはありませんか?そう思ったときには、弁護士による退職代行を検討してください。

例えば、刑事事件に該当するような業務上横領の事案や社内不倫をしていた場合に会社から懲戒の予定を告げられていた事案があります。

業務上横領をされた場合には、刑事告訴や被害届を警察に届けることを会社が検討している場合がありますので、刑事的なリスクを退職代行をする際に検討する必要がありますので、そのリスクについては弁護士に事前にご相談ください。

一般的に、刑事事件になる可能性は、金額の多さ、少なさだけではなく、反省の度合い、事案解明についての協力の姿勢、弁済の意向など諸般の事情が考慮されるためです。刑事事件になるリスクについても検討した上で、退職代行をする選択をした場合でも、紛争の顕在化のリスクが高い事案のため、退職代行会社に依頼することはできません。

さらに、労働組合系の退職代行会社では、刑事事件の経験がないため、必ず弁護士に退職代行を依頼するようにしてください。お困りでしたら、私までご相談ください。

私が行う退職代行の際には、弁済の金額や懲戒の対応も含めて依頼することができます。弁済の金額についても正当な金額であるかを弁護士が検討し、その金額の正当性をチェックすることができます。

さらに、懲戒対応をすることで、会社側とやりとりが不要になります。また、懲戒委員会が開催された場合でも出席はせずに、書面で弁明書の回答をすることもできます。懲戒対応を含めて退職代行を依頼される場合には、遠慮なく私までご相談ください。

次に、社内不倫をしていたケースでは、そもそも懲戒事由にあたるかどうかが問題となります。その際、会社からヒアリングを受けるケースがありますが、退職予定者の方が精神的に落ち込んでいたり、適応障害などになっているため、会社に出勤することができないケースがあります。

その際には、弁護士が代理人として、書面でヒアリングに応じるように交渉します。書面でのやりとりを会社と行います。弁護士を代理人とすることで、一切、依頼者本人がヒアリングに応じる必要がなくなります。このようなケースでも懲戒対応が可能となります。

2.退職日と普通解雇、懲戒解雇の関係について

話は変わりまして、退職日は、期間の定めのない正社員、アルバイト、パート、派遣社員の方には、民法627条第1項が適用され14日経過後が退職日となりますので、懲戒対応を含めて退職代行される場合には、14日後を退職日にすることをおすすめしています。

懲戒対応を含めて退職代行をしたケースでは、退職代行したその日を退職日とする即日退職にするのは会社側の合意が必要なため、難しいと言えるからです。その際、14日経過後までに、普通解雇、懲戒解雇されるリスクについてよくご質問を受けます。

まず、会社が懲戒解雇するには、懲戒委員会の開催や懲戒事由の告知や聴聞の機会の付与などを含めて懲戒解雇するまでに踏むべき法律上の手続きがあります。そのような手続きが14日以内に終了するか否かによります。

仮に、懲戒事由がはっきりしていないケースで会社側も懲戒解雇するのは無効になるリスクもあります。会社側としても、懲戒解雇するには、無効になるリスクを負っています。ここまでをまとめると、懲戒対応の際には、懲戒解雇されるかは、14日経過以内に懲戒解雇の手続きが間に合うかによります。

次に、懲戒対応の際に、普通解雇されるリスクについて解説します。やはり普通解雇されるか否かについて14日以内に普通解雇を会社が行うか否かによります。しかしながら、会社としても、普通解雇した場合で、解雇権濫用になり、普通解雇が無効になるリスクがあります。

したがって、会社としても、懲戒解雇と同様に普通解雇するには、リスクが伴います。なお、民法第627条第1項に基づき14日間後を退職日とするケースでも、その14日間が自宅待機になっていないケースでは、その14日間を有給消化、または、欠勤にします。

3.まとめ

過去、私が行った懲戒対応のケースは様々なケースがありました。業務上横領、窃盗、その他刑事事件にあたるケースもありました。諸般の事情をヒアリングして、退職代行をお断りするケースもあります。

できる限り、依頼者本人から事情をヒアリングして、弁護士には本人の再出発をサポートする意義もあると考えて、懲戒対応を含めて退職代行をしてきました。

会社側からは色々な意見があるのは私も理解しているつもりですが、依頼者本人をサポートする必要性もあると考え懲戒対応についても受任しています。

懲戒対応をご希望の方は、私までご相談ください。必ずしも受けられるとは限りませんが、できる限りサポートしたいと考えています。

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この記事の執筆者

弁護士清水 隆久

弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士

埼玉県川越市出身

城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。

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