
弁護士コラム
第146回
『役員(取締役)就任前の脱退代行【退職代行】』について
公開日:2025年8月7日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第146回は『役員(取締役)就任前の脱退代行【退職代行】』についてコラムにします。
役員(取締役)就任前の脱退代行【退職代行】についてお困りでしたら、弁護士の退職代行のお問い合わせフォームからご相談ください。

目次
1.役員(取締役)就任前の脱退代行について
今回は、少し変わった退職代行のケースをご紹介します。例えば、1ヶ月後に株式会社を数名で設立する予定ですが、その設立準備段階で、退職(脱退)したいというご相談があります。会社設立前の法的性質については、争いのあるものの、一般的には、『組合契約』と考えられています。
したがって、設立準備段階で、脱退(退職)したい場合には、民法の組合契約の規定に従います。
では、具体的な民法の規定を見ていきましょう。
民法第687条によれば、『組合契約で組合の存続期間を定めなかったときは、①各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、②やむを得ない事由がある場合を除き、組合に③不利な時期に脱退することができない』となっています。
原則として、③不利な時期でなければ、脱退は自由に行えます(①)。すなわち、脱退したい場合には、いつでも脱退(退職)できます。例外的な③不利な時期にあたっても、②やむを得ない理由があれば、脱退ができます。
※やむを得ない理由とは、体調不良など、脱退者に帰責することができない理由を言います。
※組合員が脱退するに相手方にとって不利益となる時期を指します。特に、組合契約による脱退の場合、他の組合員が事務処理の準備に着手しかけた時期や、その組合員による脱退の場合、他の組合員が事務処理を自ら行うことも他の組合員に委任することもできない時期などが該当します。
ここまでをまとめますと、『会社の設立時に辞めたい方は、辞めたいと言ったタイミングで脱退ができます(即日脱退)』
ただし、一定の条件がありますので、お困りでしたら、担当の弁護士、または、私まで遠慮なくご相談ください。
過去にも設立準備段階での脱退の依頼を受けてスムーズに脱退させています。
2.出資金の払い戻しについて
設立準備段階で、出資金を提供していた場合には、その払い戻しについては、問題になることがあります。
払い戻しの規定は、民法第681条に規定されています。
❶脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならない。
❷脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。
❸脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。
とされています。
簡単にまとめますと、脱退の時の組合財産の状況に従って払い戻しを請求できるということになります。また、完了していない事項については、その完了後に計算して払い戻しの請求ができるとされています。一見しても複雑な規定のため、具体的な事情が発生しましたら、私までご相談ください。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。
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