弁護士コラム
第222回
『退職代行モームリが逮捕?退職代行は違法?』について
公開日:2026年2月4日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第222回は『退職代行モームリが逮捕?退職代行は違法?』について解説します。
目次
1.退職代行は違法になったのか?
令和8年2月3日に「退職代行モームリ」の「代表ら」が逮捕されたニュースがありました。紹介料の支払いを受けたとして弁護士法72条違反容疑で逮捕されたようですが、そもそも退職代行が違法かどうかについて清水弁護士が解説します。
『退職』の『意思』を伝える退職代行については、退職の伝言のみであれば、適法と言えます。弁護士法72条は、弁護士・弁護士法人以外の者が、報酬目的で法律事件に関する代理・和解・法律事務(非弁行為)を業として行うことを禁止する規定です。
また、法的紛争が不可避である案件にかかる事件については、『その他一般の法律事件』にあたり違法となります(平成22年7月20日最高裁決定)。
現段階では、退職の意思を伝えるだけであれば、法的紛争が不可避である案件にかかる事件でない=その他一般の法律事件でない=適法という流れになります。
しかしながら、会社の就業規則で退職の申し出は、30日前にする規定や2カ月前にする規定などがあります。その一方で、民法627条によれば退職の申し出については、14日前にすれば問題ないという規定になっています。
その際、就業規則または民法627条の規定のどちらが優先されるかという場合には、法的紛争が不可避な案件になる可能性もあり、会社側が就業規則の有効性を主張してきた場合には、少なくともその時点で、法的紛争が不可避な案件になったと考えられます。
さらに、契約社員の場合には、民法628条でやむを得ない事由が必要とされ、そのやむを得ない事由の存在について会社が主張してきた場合には、少なくともその時点で、法的紛争が不可避な案件になると考えられます。
ここまでをまとめますと、退職の意思を伝えることだけであれば、退職代行は適法です。その後の会社の対応次第では違法になるケースもあります。
2.モームリさんが逮捕されても変わらない?
今回の弁護士法72条違反については、「モームリ」さんから「弁護士」の先生に交渉の必要な退職代行の案件を紹介して、その紹介にあたり、紹介手数料を支払うという事実にあたると考えられます。あくまでも紹介料の支払いについての問題であって、退職代行が「弁護士法違反」になったということではありません。
したがって、モームリさんの逮捕にあたっても、退職代行自体が違法になった訳ではありません。
3.まとめ
モームリの営業手法はSNSを使った手法であり、弁護士としては真似ができない方法ばかりでありますが、その方法には目を見張るものがあります。長年、弁護士として退職代行サービス業界を見てきた立場としては、今後の同業界の動向について注目しています。
退職代行についてのお問い合わせは私までご相談ください。
・参考コラム
第181回『退職代行会社のモームリの家宅捜査について法的観点から解説』について
第185回『モームリ弁護士法違反【退職代行 弁護士 見解】』について
第221回『退職代行モームリ弁護士法違反で逮捕?弁護士に紹介?』について
・参考条文
弁護士法第72条
72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの『周旋』をすることを業とすることができない。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者
弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。
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