
弁護士コラム
第125回
『防衛省職員(一般行政職)の退職代行』について
公開日:2025年6月3日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第125回は『防衛省職員(一般行政職)の退職代行』についてコラムにします。

目次
1.防衛省職員(一般行政職)の退職代行について
最近では、防衛省職員のうち、技官の方を含めて一般行政職の退職代行が増えていますので、今回コラムにしました。
今回は、防衛省職員のうち、自衛官の退職代行を除いて解説します。話が逸れますが、まず、自衛官の退職代行は一般行政職とは異なります。何が異なるかといえば、退職までの期間が自衛官の方と比べて極端に短くなります。
また、防衛省職員の退職については、国家公務員の退職代行と違いはありません。国家公務員の退職にあたっては、国家公務員法第77条が適用条文になります。
さらに、職員の辞職に関する規定は、この法律及び人事院規則でこれを定めるとし、人事院規則8-12(平成21年人事院規則八一一二)第51条において、「特に支障の無い限りは辞職を認める」こととされいます。
この『特に支障の無い限り』とは、逐条国家公務員法〈全訂版〉(学陽書房発行、平成29年10月17日全訂版第2刷発行)によると、「公務の秩序維持上懲戒処分に付す必要がある場合」と言います。
ここまでは、わかりやすくまとまると、『懲戒処分待ち』の状態でなければ、退職できるということになります。さらに、一般行政職にあたる防衛省職員(技官その他)の退職については、人事院規則8-12第51条『「特に支障の無い限りは辞職を認める」こととされている』としか規定されていないので、退職代行したその日を退職日とする即日退職が可能となります。
よくあるのが、年次休暇をほとんど消化して残っていないのですが、退職できますか?というご質問を受けます。
例えば、技官の方を含めて一般行政職にあたる防衛省職員の方については、そもそも『即日退職』が可能となるため、年次が残っていない場合でも退職できます。さらに、欠勤が発生しない限り、退職日の指定も可能となります。
防衛省職員の退職代行の流れは以下の通りとなります。
①退職の理由等について私がヒアリングします。
②退職代行の流れ等について説明します。
③納得された場合には、退職代行実行日の打ち合わせをします。その際、ご希望の退職日をヒアリングします。
④職場とのやりとりは弁護士が行います。
⑤退職願の書式を私の方で取り寄せします。
⑥退職願の作成及び職場への送付をします。
⑦退職関係書類の請求を行います。
⑧事例交付書が郵送にて依頼者に届きます。
2.まとめ
一般行政職にあたる防衛省職員の退職代行については、退職代行会社は依頼を受けることはできません。
なぜなら、退職にあたっては、承認権者の『承認』が必要となりますので、自然と『承認』を得る過程で、退職に関する『交渉』が必要となるためです。
確かに、国家公務員の場合には、自衛官、海上保安庁の職員などを除き労働組合が退職代行を禁止する法律はありません。
しかしながら、国家公務員の労働組合は『職員団体』にあたり、労働組合法は適用されませんので、一般的な世にいう労働組合系の退職代行会社が国家公務員の退職代行を行うことはできません。
ここまでをまとめると、世に言う労働組合系の退職代行会社に退職代行を依頼することはやめた方が良いと考えます。
そのような意味でも、防衛省職員の退職代行は、弁護士に依頼する一択になります。お困りでしたら、遠慮なく私までご相談ください。力になります。
・参考条文
国家公務員法第77条(離職)
職員の離職に関する規定は、この法律及び人事院規則でこれを定める。
人事院規則8-12(職員の任免)第51条
任命権は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
関連裁判例
辞職願及びその撤回は、身分の得喪に関わる公法上の意思表示であるため、自ら直接行うことを要し、使者を介することは許されるが、代理人による意思表示は許されないとされいます(昭和39年6月22日 奈良地裁)。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。
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