
弁護士コラム
第161回
『自衛官のための退職給付金サポートと退職代行』について
公開日:2025年9月16日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第161回は『自衛官のための退職給付金サポートと退職代行』についてコラムにします。
退職給付金サポートについては数多くのご質問を受けます。最近では高額なサポートプランを提供している民間の会社がありますが、そのような民間の会社では、30万円から50万円のサポート費用を取るところがあります。
そのような高額な費用を支払いをする必要がないぐらいのまとめた知識になるようにコラムにします。今回のコラムの解説も弁護士の清水隆久が行います。
自衛官の方が退職時に受け取れる国からの給付金をご存知でしょうか?私が自衛官の退職代行サービスをかなり多くやっていますが、催促しないと部隊や共済の窓口から必要書類が届くことはありません。今回は、第1回目なので、概要にとどまりますが解説していきます。

目次
1.国家公務員退職票について
自衛官の方から離職票は発行されますか?というご質問を頂きます。自衛官の方は民間企業にお勤めではないので雇用保険には加入していません。したがって、離職票は発行されません。
もっとも、自衛官の方は、公務員にあたることから、離職票の代わりに国家公務員『退職票』というものが発行されます。
しかしながら、退職票は、退職した隊員が自ら部隊(共済担当)に請求しないとなりません。この退職票の交付請求をしていない自衛官の方が沢山いらっしゃるようです。
私が退職代行した際には、退職票の請求もセットで行いますのでご安心ください。

退職票で支給される給付については、雇用保険給付に相当する給付にあたりますので、在籍期間が原則として、1年必要となりますが、一定の例外を満たした場合には、6ヶ月以上1年未満でも給付を受けることができます。
6ヶ月以上1年未満の方については、雇用保険では、①特定理由離職者、②就職困難者、が該当します。
①特定理由離職者とは、参考までに以下の通りコラムに載せます。
以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
(a) 結婚に伴う住所の変更
(b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
(c) 事業所の通勤困難な地への移転
(d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
(e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
(f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
(g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
特定理由離職者にあたる場合には、給付日数は以下の通りとなります。
在籍した期間
1年未満 1年以上 90日
5年未満 5年以上 90日
10年未満 10年以上 120日
20年未満 20年以上 150日
※給付日数は、6ヶ月の給与総額÷180日×給付率
②就職困難者については複雑なため、コラム第154回『退職給付金(就職困難者のパターン)と弁護士の退職代行で最大200万円?を受給する方法』について、をご参照下さい。自衛官の退職代行についてもそのまま当てはまります。
①特定理由離職者、②就職困難者など退職給付金についてご質問のある方は、弁護士の退職代行のページからLINE登録の上、ご質問ください。
2.傷病手当金申請サポートについて
次によくあるバターンとしては、病気休暇中、または、休職中に退職したパターンで退職後についても傷病手当金申請サポートをするケースがあります。
今回は概要にとどまりますが、退職日までに、『❶公務外の私傷病により、❷待機期間が3日以上あり、❸退職までに傷病手当金申請がされた場合(時効は2年)の場合』には、1年間の平均給与の67%が支給される制度になります。
❶公務外の私傷病の場合で、退職前に年次休暇消化であっても、❷❸を満たした場合には、病気休暇中や休職中でなくとも、退職後に受給することができます。
自衛官の方で傷病手当金申請についてお困りでしたら、私までご連絡ください。退職日までに、医師の診察を受ける必要がありますので、タイミングについてもお悩みでしたら、退職給付金サポートコンサルティングにお申し込みください。
自衛官の傷病手当金申請サポートについて詳しくコラムについては、第62回『弁護士による退職代行と社会保険給付金サポートが最大500万円が受け取れるは本当か!?』について、をご参照下さい。より理解が進むと思います。
3.まとめ
最近では、自衛官の方については、精神的なストレスなどで、心療内科、または、精神科を受診されるケースも増えています。
その際、退職後についても要件を満たせば、傷病手当金を受け取ることもできますし、退職票に基づき失業保険給付相当の給付金を受け取ることができます。
退職代行時には、要件を私の方で確認しながら行うこともあります。退職給付サポートコンサルティングについては自衛官の方でも申し込みが可能なケースもあります。私までお問い合わせ頂けると幸いでございます。

・参考条文
失業者の退職手当支給規則
(基本手当の日額)
第1条 国家公務員退職手当法(以下「法」という。)第十条第一項に規定する基本手当の日額は、次条の規定により算定した賃金日額を雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十七条に規定する賃金日額とみなして同法第十六条の規定を適用して計算した金額とする。
失業者の退職手当支給規則
(退職票の交付)
第3条 所属庁等の長(法第八条の二第一項に規定する各省各庁の長等をいう。以下同じ。)は、退職した者が法第十条第一項又は第二項の規定による退職手当(以下「基本手当に相当する退職手当」という。)の支給を受ける資格を有している場合においては、別記様式第一による国家公務員退職票(以下「退職票」という。)をその者に交付しなければならない。
自衛隊法
(退職の承認)
第40条
第31条第1項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の「任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるとき」は、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
・参考コラム
第11回『自衛官の退職代行及び脱柵』について
第20回『自衛官の懲戒処分待ちの退職代行』について
第21回『自衛官の懲戒処分待ちの退職代行その2』について
第26回『自衛官(陸士長、1等陸士、2等陸士)の退職代行【自衛隊編】』について
第33回自衛官(自衛隊員)の退職代行【階級3曹】』について
第39回『幹部自衛官の退職代行』について
第47回『自衛隊員(自衛官)のための親の同意と退職代行』について
第48回『自衛隊員(自衛官)のための外出許可中の退職代行』について
第51回『弁護士による自衛官(自衛隊員)のための病気休暇取得代行サービス及び休職代行サービス』について
第54回『弁護士による自衛官(自衛隊員)の病気休暇取得と退職代行』について
第57回『弁護士による自衛隊員(自衛官)の病気休暇期間中及び休職期間中の退職代行』について
第73回『自衛官のための懲戒処分待ち→停職処分→退職代行』について
第108回『航空自衛官の処分待ちの退職代行がおすすめな理由』について
を、読んでいただきましたら、自衛官の退職代行について理解が進むと思います。お時間がございましたら、ご拝読ください。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。
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