
弁護士コラム
第180回
『医療法人の理事のための辞任代行がおすすめな理由【相談窓口】』について
公開日:2025年10月21日
退職
弁護士法人川越みずほ法律会計の弁護士の清水隆久と申します。
退職代行を専門的にはじめて早いもので、数年が経ちました。
その間、数多くの退職代行をした経験から「これは」と思うことをコラムにします。
コラム第180回は『医療法人の理事のための辞任代行がおすすめな理由【相談窓口】』についてコラムにします。
医療法人の理事の方で辞任についてお悩みでしたら、弁護士の退職代行からお問い合わせ下さい。
医療法人に勤務されている医師の方が退職代行サービスを利用する機会が増えているようです。
また、医師の方が医療法人の理事になっている場合には退職代行という言葉は正式な言葉ではなく、辞任代行という方が法律的にはしっくりきます。
医師の先生の退職代行サービスについては、コラム第157回『医師(の先生)のための退職代行サービスがおすすめな理由』について、をご参照下さい。

目次
1.弁護士による理事の辞任代行サービスについて
それでは本題「理事の辞任代行サービス」について解説します。
理事と医療法人との間の契約は委任契約になっています(民法第643条)。
民法第643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
※民法第651条によれば、委任契約になっている場合には、辞任の通知をした日をもって辞任となります。
もっとも、理事が辞任するにあたっては、損害賠償請求を受けるかどうかについては検討しないとなりません。
※民法第651条によれば、理事が辞任するにあたっては、①『不利な時期』に②『やむを得ない事由がない場合』がない場合には、③『損害賠償』を受けるということになっています。
①不利な時期とは、「不利な時期」とは、委任者が直ちに自分で事務の処理を開始することができず、また、他の受任者に対して事務処理を委任作成することができない時期(大審院判決大正6年1月20日)を言います。
②止むを得ない事由とは、ケースバイケースですが、
❶代表取締役の生命・身体または精神に重大な問題が発生した場合
❷社内で暴行等を受け通常の業務遂行が不可能な状況に追い込まれていた場合
などが考えられます。
③損害の概念とは、抽象的な損害ではなく、具体的な損害が必要となります。さらに、損害と辞任との間に相当因果関係が必要となります。
よくある事案としては、理事として分院の管理者として登録していることが考えられます。辞任することで、一定期間、管理者不在となり、閉院するケースがあります。
その閉院した期間の全ての売り上げの『相当期間』分が損害になると考えられます。
相当期間の議論は明確な基準がある訳ではないものの次の管理者になる医師が理事に就任するための期間になると考えられます。
2.兼務理事について
雇用契約と理事の委任契約の兼務の場合については、辞任以外にも、退職を検討する必要があります。
退職については、民法第627条第1項により退職の通知をしてから14日経過後が退職日となります。
したがって、兼務理事の場合には、辞任通知とともに退職通知する必要があります。
3.まとめ
理事の辞任代行の依頼の経緯としては、実質的な権限がいわゆる名義貸しのような形になっているケースも見受けられます。
法的にお困りでしたら遠慮なく私までご相談ください。力になります。
弁護士法人川越みずほ法律会計の紹介
いち早く退職代行を手掛け、今までも多数の相談及び解決事例があります。
今回、その中でもご質問が多いご相談事項をコラム形式でまとめました。
この記事の執筆者

弁護士清水 隆久
弁護士法人川越みずほ法律会計 代表弁護士
埼玉県川越市出身
城西大学付属川越高校卒業、中央大学法学部法律学科卒業、ベンチャー企業経営、労働保険事務組合の理事、社会保険労務士事務所の代表を経て、予備試験合格、司法試験合格、司法修習終了後、弁護士法人川越みずほ法律会計を設立、同弁護士法人代表に就任。労務・税務・法律・経営の観点から、企業法務に関わる傍ら、東から西へと全国を飛び回る。社会保険労務士時代に得た労働社会保険諸法令の細かな知識を活かし、かゆい所に手が届く退職代行サービスを目指して日々奮闘中。2019年に携わった労働事件(労働者側・使用者側の両方。労働審判を含む)は、60件以上となる。
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